ショート

一、 抹茶香る都の騒乱古都の春は、いつもより騒がしかった。将軍家御用達の銘茶を扱う老舗「伊藤の九兵衛」に、何者かが忍び込んだというのだ。狙われたのは、秘蔵の抹茶と、甘酸っぱい苺を合わせた、禁断の菓子「茶苺」。その菓子を巡り、剣士たちの熱き戦...

渇いた喉を潤すは、富士の霊峰が育みし命の水。剣を執る指先に、一滴の清涼が力を与える。仇敵を討ち、民を救うため、侍は今日も水筒を背に、街道をひた走る。その水は、古より武士道の魂を支えきた、希望の源泉なり。【次回予告】迫りくる刺客！水の誓い！ ...

初夏の陽光が眩しい。風にそよぐ若葉の緑は目に優しく、どこか物憂げな気分を吹き飛ばしてくれるようだ。名を無楽斎と名乗る浪人は、今日もまた、己の腰に差したるはがねを携え、人知れず庭木と対峙するのであった。「ふむ、伸び放題の枝ぶり、まるでわしの心...

時は幕末、開国か攘夷かで世情騒然とする中、一人の若き剣士がいた。名はまだない。腰に差すは、一瞬を切り取る秘剣「写心」。四角い写真（しかくいえ）に魂を封じ込め、人々の笑顔を未来へと繋ぐ。ある時は、異国からの珍品に目を輝かせ、またある時は、町娘...