熱き湯煙が立ち込める、武士の魂を癒やす隠れ湯。名を「静寂の湯」という。
そこに現れたのは、深藍色の装束を身にまとった一人の侍。
「拙者、湯守見習いの紺之介と申す。」
若き侍、紺之介は悩んでいた。
湯上がりの、あの煩わしい熱気。
そして、乱れる髪。
「武士たるもの、常に冷静沈着であらねばならぬ。しかし、この湯上がり後の不快感…。」
そんな彼の目に飛び込んできたのは、古来より伝わる秘宝、「今治の守り」。
それは、湯気を吸い込み、熱から頭を守るという不思議な布。
紺之介は意を決し、「今治の守り」を頭に被った。
するとどうだろう。
熱気が和らぎ、心は穏やかに。
髪も乱れることなく、凛々しい姿を保っている。
「これぞ、武士道の新たな境地！」
紺之介は「今治の守り」と共に、静寂の湯を守り、人々の心と体を癒やすことを誓った。
深藍色の「今治の守り」は、今日も湯煙の中に、武士の誇りを静かに輝かせている。
【次回予告】湯煙の向こう側
このお話はフィクションであり架空の話です。
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