月夜のポテトチップス

真夜中を少し過ぎた頃、棚の奥でひっそりと佇む円筒形の彼は、静かに目を覚ました。彼の名はサワオニ。月明かりが差し込む僅かな隙間から、外の世界を夢見ていた。彼は、いつも同じ場所にいることを少しだけ退屈に感じていたのだ。

サワオニは、完璧な円盤形の仲間たちが、規則正しく積み重なっている様子を眺めていた。皆、誇らしげに同じ方向を見つめている。でも、サワオニは違った。彼はもっと自由で、もっと刺激的な何かを求めていた。

「いつか、この場所から飛び出して、色々な世界を見てみたい。」

そう心の中で呟いた時、突然、棚が大きく揺れた。何かが近づいてくる。サワオニは、ドキドキしながら、その瞬間を待った。暗闇の中に、光が差し込み、サワオニは初めて見る光景に息を呑んだ。それは、彼にとって、新たな冒険の始まりを告げる合図だった。彼は円筒形の壁を飛び出し、未知の世界へと足を踏み出す決意をした。彼の旅は、まだ始まったばかりだ。

【次回予告】旅立ちの味

このお話はフィクションであり架空の話です。

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