「またか…」
ベテラン刑事、朝倉はため息をついた。現場は高級マンションの一室。被害者は人気デザイナー、御子柴。そして、部屋には奇妙なほどに足跡が残っていない。まるで、雲の上を歩いたかのように…。
「朝倉さん、これ見てください!」
若手刑事、相川が興奮気味に声を上げる。彼が指差したのは、リビングに敷かれた“ふわりーぬ”という名のラグだった。そのアイボリー色のラグは、まるで何かを隠すように、中心部分だけが妙に盛り上がっている。
「このラグ…何かあるな」
朝倉は直感した。この“ふわりーぬ”こそが、事件の鍵を握っているのではないかと。
その夜、朝倉は自宅に戻り、事件について考えを巡らせていた。相棒の猫、ミケは、彼の膝の上で丸くなっている。ふと、ミケが伸びをした際、その肉球が“ふわりーぬ”を模したような、ふっくらとした感触を朝倉に伝えた。
「…そうか!」
彼は閃いた。犯人は、あのラグの感触を知っている人物に違いない。
翌朝、朝倉は相川と共に、御子柴の周辺人物を洗い始めた。そして、意外な人物が浮上する。それは、御子柴の元恋人で、最近まで“ふわりーぬ”のCMに出演していたモデル、麗香だった。
麗香の証言は曖昧で、アリバイも不確か。朝倉は、彼女が何かを隠していると確信した。
「麗香さん、あなた…あのラグのことを知っていますね?」
朝倉は、静かに問い詰めた。彼女の瞳が揺れた。
【次回予告】ふわりーぬの罠
このお話はフィクションであり架空の話です。
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