白檀の王女と秘密の庭園

夕暮れ時、王宮の庭園に微かに漂うのは、遠い異国の記憶を呼び覚ます神秘的な香り。王女リリアーヌは、今日もまた、その香りに導かれるように秘密の庭園へと足を運んだ。政略結婚を控えた彼女にとって、そこだけが心を許せる、安らぎの場所だった。

庭園の一角に佇む古びた香炉からは、ゆらゆらと白い煙が立ち上る。それは、リリアーヌが幼い頃から愛してやまない、白檀の香り。「サンダルウッド・ドリーム」と呼ばれるその香りは、彼女の心を優しく包み込み、束の間の自由を与えてくれる。

ある日、リリアーヌは庭園で一人の青年と出会う。彼は王宮に仕える庭師だという。物静かで優しい彼は、リリアーヌにとって初めて心を許せる存在となる。二人は毎日、夕暮れの庭園で言葉を交わし、互いの心を通わせていく。

しかし、リリアーヌの結婚式は刻一刻と迫っていた。彼女の心は、政略結婚への不安と、青年への秘めた想いで揺れ動く。運命の歯車は、音もなく回り始める。白檀の香りが満ちる庭園で、二人はどのような未来を選ぶのだろうか。

【次回予告】王女と庭師、禁断の恋

このお話はフィクションであり架空の話です。

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