古の時代より、人々は語り継いだ。
「王は、玉座に座して初めて王となる」と。
しかし、これは誰も知らない物語。
粗末な服をまとい、日焼けした肌の羊飼いの少年が、ひょんなことから王位を継承することになったのだ。
「こんなボロ椅子、王様の座るもんじゃねえだろ」
即位の儀で用意されたのは、古めかしい、しかしどこか温かみのあるロッキングチェアだった。背もたれは高く、体を優しく包み込む。少年は戸惑いながらも腰掛けた。
「…なんだ、これ。落ち着く…」
驚いたことに、椅子に身を委ねると、長旅の疲れが癒されていくようだった。
民の声が、風の音が、そして遠い国の思惑が、まるで子守唄のように響く。
少年は、王座ではなく、このロッキングチェアこそが、王の魂を宿す場所だと悟った。
だが、彼の治世は、決して平穏なものではなかった。
隣国からの侵略、貴族たちの陰謀、そして何よりも、王としての知識と経験の欠如。
少年は、ロッキングチェアに揺られながら、悩み、苦しみ、そして決断していく。
羊飼いの心を持つ王は、果たして国を救えるのか?
そして、ロッキングチェアは、彼の心の支えとなるのか?
【次回予告】王とロッキングチェア
このお話はフィクションであり架空の話です。
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